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Amazon各サービスのビジネスモデルから学ぶ5つのマネタイズ手法

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Amazonのスマイルマークは、よく見るとAからZまで伸びている。この矢印は「AからZまで何でも揃う」「地球上で最大の品揃え」という意味があるのは、意外と知られていないことだ*1。しかし、先日Kindle Unlimitedが登場したことで新たにAmazonのサービスがひとつ増えることとなり、「Amazonは『モノを売る』eコマースビジネスなんですね」とは一概に言えなくなってしまった。そういう意味では、AからZとは、モノの品揃えのことではなく、いずれはAmazonのプラットフォームで実現するあらゆるビジネスやサービスのことを指すようになるだろう。

ところで、インターネットでビジネスをするのは10年前や5年前と比べても格段に簡単になった。ブログ記事を書いてアフィリエイトなり広告を貼ったりするのも立派なビジネスだ(副業でやっているひともいれば本業として取り組んでいるひともいるので、温度差はあるだろうけれど)。プログラミングの経験がなくてもWebサービスを立ち上げることもできるし、自分でグッズを作って売り出すことも簡単にできるようになった。

このブログでも、そうしたインターネットを活用したビジネスについて言及していこうと思うけれど、今回はその中でも多様化したAmazon各サービスのビジネスモデルから学ぶ5つのマネタイズ手法を紹介していこうと思う。この記事を読めば、Amazonのプラットフォーム上で稼ぐうえでのヒントにもなるし、これから自分でビジネスをするひと・すでにやっているひとにはAmazonのビジネスモデルを自分のビジネスに持ち込む一助にもなるはずだ。

1. 安く仕入れて高く売る:リテールビジネス

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1995年7月に「Amazon.com」のサービスがスタートして以来、その中核に据えているのが小売リテールビジネスだ。

小売ビジネスは、通常「小売業者」が「卸売業者」から安く仕入れ、マーケットにいる消費者(顧客・カスタマー)に付加価値分の価格を上乗せして販売する。いうまでもなく、この販売価格と仕入値の差額が利益となる

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この利益は、顧客がもとめる品物を扱うだけでなく、ふらっと買い物に来た顧客への利便性の提供や商品の性質を知らせるための情報発信基地の役割も担っているので、それらのサービスへの対価と考えることもできる。

「モノを流し、情報を提供する」という単純な言葉で表すことのできるビジネスモデルではあるけれど、アフィリエイトとも非常に相性がよく、ここにもインターネットビジネスの商機が眠っている。もしあなたがブログを書いているなら、あなた自身が広告塔になり、その紹介料としてインセンティブをもらうことも可能だ。

2. 会員になるとお得ですよ:会員権ビジネス

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AmazonではAmazonプライムという有料会員サービスを展開している。これは年会費3,900円(月あたり325円)で「翌日お届け便」や「音楽やラジオが聞き放題(プライムビデオ)」「ドラマや映画が見放題(プライムミュージック)」「タイムセールに30分早く参加可能」などのさまざまな特典が利用できるサービスだ。学生向けに年会費1900円(月あたり159円)で利用できるAmazon Studentや、おむつなどの育児用品が安く購入できるAmazonファミリーもある。

こうした会員権に関するビジネスモデルは、実はさまざまなところで見ることができる。身近なところではあなたの街のクリーニング店が挙げられるだろう。会員になるのに有料のところも無料のところもあるけれど、会員になれば安く・早くクリーニングが利用できますよ、ということをサービスとして掲げるので、加入するメリットも多い。加入すれば、使わないと損になるので、リピート率も上がっていく。

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お高いところだと、ゴルフ会員権などもある。会員権を持っていると、ゴルフが安く利用できたり、特定のゴルフ場では会員権を持っていないとプレイできなかったりする。加入料金の高い会員権は、購入するハードルが高いので、持っているだけでステータスにもなる

Amazonプライムは、クレジットカードなどの決済情報を入力したうえで、30日間の無料期間でお試しをすることができる(Amazon Studentは180日間)。無料の期間を設けることで、会員加入の参加障壁を減らすことができるし、無料期間でも有料会員と同じサービスが受けられるので離脱率も減り、キャンセルをしない限りでそのまま有料会員に移行することができる。

スポーツジムなどでもそうだが、利用しなくなっても、なかなか退会するのは面倒になってしまうものだ。会員になってさえくれれば、継続的にお金が入ってくるので、いかに加入障壁を下げるかがポイントとなってくる。

Prime Dayのような会員限定セールを行って、リテールの売上促進と会員獲得プロモーションを同時にやってしまうというところも、見習いたいところだ。もし継続的なキャッシュポイントを作りたいのなら、こうした会員制ビジネスの仕組みも組み込んでみるといいだろう。

3. 月額一定で見放題:サブスクリプションビジネス

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Amazonのサービスの中では、先日紹介した「Amazon English」「Kindle Unlimited」のようなサービスが、サブスクリプションのビジネスモデルに近い。サービスを継続して利用してくれさえすれば、月極でお金が入ってくる仕組みだ。

サブスクリプションとは和訳すると「定期購入」「定期購読」の意味で、雑誌やサプリメントなどの物品を、月額で料金をもらう代わりに配送する形でのビジネスモデルだ。このモデルの代表としては、sakelifeという日本酒の定期購買サービスが挙げられる。2種類のコースから1つ選ぶことで、日本酒のスペシャリストが月に数回日本酒を自宅に送り届けてくれるサービスだ。サブスクリプションの形態だと支払いが継続的になるので、リピート購入の施策を打たなくても、繰り返しマネタイズできるシステムが出来上がっている(もちろん離脱に関しては打ち手が必要だ)。

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サブスクリプションビジネスはカスタマーがお店に購入しにくる必要がないので、「流通」「通販」との相性が非常にいいのだけれども、Amazonではこのモデルを従来から基盤としてきた小売事業(=「モノ」)ではなく、新規開拓したコンテンツ事業(=「情報」商材)に適用した点が秀逸だ。例えば先日リリースされたKindle Unlimitedは、月額980円で本が読み放題になる。HuluやNetflixなどの動画の見放題サービスも同じことが言えるが、ある程度自分の興味のあるものを見ることができれば、元が取れたと感じる。新しいコンテンツもどんどん配信されるので、ついついそのままメンバーシップを残してしまうのである。

レンタルサーバーや不動産の賃借も、定期的に収入が入ってくるという点でサブスクリプションの形態と似ている。ある程度のメンテナンスやフォローアップさえすれば、あとは解約されるまではお金が流れ込んでくるのだ。

会社は3年以内に30%、10年以内に97%が倒産すると言われている。倒産の原因は様々あるけれど、もっとも大きな要因はキャッシュフロー(お金の流れ)が停滞してしまうことだ。もしこれから何らかのサービスを立ち上げる際には、定期的に収入の入るビジネスモデルを取り入れるのも検討してみてはどうだろう。

4. うちに店を出しませんか?:プラットフォームビジネス

Amazonでは自分で小売販売するだけではなく、「マーケットプレイス」という仕組でAmazon以外の出品者(セラー)が商品を売ることもできる。このマーケットプレイスに参加すると、Amazonのプラットフォーム上で自分の仕入れた商品や自社で作った商品を売ることができるのだ。

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マーケットプレイスでは、大きく分けて「大口出品者」と「小口出品者」の2つに大別され、手数料が変わってくる。「大口出品者」は、月額4,900円の登録料(物件でいえば店を出すための家賃)と、注文の成約時にのみ課金される販売手数料がかかる。一方「小口出品者」の場合に必要なのは、商品1点ごとにかかる基本成約料100円と販売手数料だ。

手数料を取られるなら自分でネットショップを作って売ったほうがいいじゃないか、と思うかもしれない。しかし、Amazonという名の知れたプラットフォーム上ではやはり商品の売れるスピード感が全然違うし、決済機能や商品の配送も含めてAmazon側が用意してくれるのは大きなメリットでもある。JANコード1つあれば、HTMLなどのWebサイトの知識もネット通販の経験も必要ない。そういう意味では、上昇気流のプラットフォームに乗っかってビジネスをするのはとても意味のあることだと思う。

一方で、自身がプラットフォームを作る側になるのも、最初は大変だけれど、大きな恩恵を受けることになる。合コンでも、箱代に手数料を上乗せすることで、幹事がうまく儲けていく。人の集まるプラットフォームが構築できれば、あとは仕組みを回していくことに集中していけばいい(難しいのは、どうやって人を集めるかである)。この手のビジネスモデルに興味があるひとは「プラットフォーム戦略」を読んでみると大変参考になるだろう。

5. 誰でも気軽に出版できますよ:ロイヤリティビジネス

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著作権や商標権などを通じてロイヤリティ収入を得るビジネスモデルも、キャッシュポイントを作りやすい。Amazonにおいては、Kindleを使った出版(Kindle Direct Publishing、以下KDP)がこのビジネスモデルに近いだろう。

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KDPの仕組みはこうだ。自分が出版したい原稿データをAmazonに登録して販売することで、著者は販売価格の最大70%を受け取ることができる。残りの30%はAmazonが手数料として持っていく仕組みだ。

KDPは先日スタートしたKindle Unlimitedにも対応しており、販売したい本の設定をするだけで簡単にKindle Unlimitedにも参加することができる。その場合、「Kindle Edition Normalized Page Count(KENPC)」と呼ばれる計算方法に基づいてロイヤリティが計算される。簡単に言うと読んだページ数に応じて支払われる仕組みだ。

KENPCでは、Kindleの標準書式設定(フォント、行の高さ、行間など)に基づいて、読者が初めて読んだページ数を計算する(そのため、ジャンルや端末に関係なく計算する)。詳しい計算方法はKDPのサポートサイトに載っているけれど、例えばこんな感じでロイヤリティが入ることになる。

  • 100ページの本が100回借り出されて完読された場合のロイヤリティ:$1,000 (約10万円)
  • 200ページの本が100回借り出されて完読された場合のロイヤリティ:$2,000 (約20万円)
  • 200ページの本が100回借りだされ、平均して半分までしか読まれなかった場合:$1,000 (約10万円)

※日本円でのロイヤリティの配当は為替レートや現地価格などにより変動する

こうして見てみると、決して低くないロイヤリティのため、参入してみる価値は大いにありそうだ。ユーザーにとっては読み放題ならどんどん本棚に追加していくだろうから、単に1冊を購入するより心理的な障壁も低いはずだ。

こうしたビジネスは、実は昔から存在している。有名なところでいうと「置き薬」ビジネスだ。訪問販売営業で回っている営業マンが薬のたくさん詰まった薬箱を置いていき、「使った分だけ」料金を徴収していく

話が少し逸れてしまったけれど、単に一般書籍を電子化しただけでなく、無名の個人も参入しやすいプラットフォームにして、さらには「読んだ分だけ」というビジネスモデルまで加えてしまったところがAmazonのすごいところだ。アフィリエイトも著作権のロイヤリティも、うまくまわりを巻き込みながら売上を上げる仕組みになっている。新しくビジネスを始めるのであれば、ぜひとも参考にしていきたい。

まとめ

広告をほとんど打たないにも関わらず、2015年には日本だけでも売上が1兆円に達したAmazonの、さまざまなサービスのビジネスモデルを見てきた。Amazon自身、Amazonを利用するカスタマー、そしてAmazonに出入りするアフィリエイターやサプライヤーなどがみんなWin-Winで利益を享受する「三方よし」のビジネスモデルだ。

ビジネスは、もちろん斬新なアイデアも重要だ(だからクラウドファンディングは盛り上がる)。けれども、ビジネスはそもそも「仕組み」で勝敗のほとんどが決まっている、というのは肝に銘じておきたい。

ちなみにAmazonはAWSやAmazonクラウドストレージ、定期おトク便など、他にも様々なサービスを展開していて、それぞれにユニークなビジネスモデルがある。今回は紹介できなかったけれど、成功しているビジネスモデルを分析することで、収入を増やす何らかの手がかりがつかめるかもしれない

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*1:このスマイルマークはAmazonの経営ビジョンのひとつ「顧客中心主義」の象徴でもある